見殺し

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やむおえなく彼は警察に変えた 電話をすると明瞭な係員の声が聞こえて来た 「はい通報係です どうしました」 彼はほっとして言った 「事件です、傷害事件、いや殺人未遂」 「まずあなたのお名前をお願いします」 「なっ名前ですか」 彼は思った 通報者が犯人と言うのは多い、彼の保身が再び目覚めた 彼は言った 「名前をいわなければ通報出来ませんか」 「匿名でいいです 現場を教えて下さい」 「現場ですか」 彼の頭に再び悪魔が囁いた 『もう、あの男は死んでいるぞ、殺人事件だ、犯人扱いされなくても会社に刑事がやって来て、裁判所へも呼ばれ証言台にたたねばならなくなる、そうなったら人生はメチャクチャだ、それにお前は一度みごろしにしてるんだ、ケータイが不能になったなんて世間が信じるか?ITエンジニアが続けて三回も間違えるなんて世間も警察も信じるもんか』 彼は思った 逆探知は時間がかかるらしい それに移動しているケータイの追跡は簡単には行かないはず、もしケータイ番号がわかっても運転手の番号だ ここで降りてしまえば追跡は出来ないはず。 彼は車の外を見た 外はかなり賑やかな場所だ。
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