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「わかりました」
「では我々はこれで」
刑事達は敬礼して去った
彼はドアを締めて鍵を締めて鎖をかけた
そしてヨロヨロと部屋の中央に帰って来て崩れた
「おどかすなよ
心臓がまだ収まらない」
彼は仰向けにごろんと寝た
彼は和風の電灯の釣り下がった天井を見た
彼は思った
『あの人は本当に死んだのか?
確かにボロボロだったが、あの後誰かが見つけて、治療を受けて、どこかの病院に』
彼は玄関に行って新聞を取った
『もしあの時あの人が死ねば朝刊か夕刊には載るはずだ』
彼は恐る恐る新聞の社会面を見た
しかしその日社会面には三件も暴行殺人事件が載っていた
そのうち二件は地域も被害者も異なっていた
しかし一件のみは事件の状況も対象年齢性別も一致していた
地区も彼の住んでいる場所も遠くなく、これがあの事件である事はかなり確率が高かった
しかし何故か被害者の名前は匿名になっていた
今は被害者の名前を匿名報道を許されるため、このような記事も許された
もっとも名前が書いてあったとしても彼はあの男の名前も知らない
記事には何者かにより暴行を受けての殺人、傷害致死を視野において
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