見殺し

2/62
前へ
/709ページ
次へ
彼は久しぶりに連休を東京の実家で過ごしていた 本題に入る前にここで改めて彼の置かれている状況をつけ加えなければならない まず彼の住居と勤めについてだが 彼の勤める会社の支店は東京のベッドダウンと呼ばれる地方都市だが、通うのは少し厳しいので彼は現在単身赴任をしている もちろん通うと思えば通えないことはない しかし往復のロスタイムを考えると、やはりバカらしく単身赴任をしている その事情は技術屋といっても営業を兼ねているため定時に帰れることは稀といってもよく、帰る時はくたくたで帰ってねるだけだったからだ 一応副センター長と言う肩書があるが、名ばかり管理職とは違うとは言え権限も本社のコントロールが強いため、それに引っ張り廻され、結局実態は管理職のサービス残業であった とは言っても、正社員は待遇面で考慮されているので文句は言えない 住宅手当て、扶養手当て、被服手当て、営業手当て等金銭的には恵まれていた まあそれはともかくとして、様々な事情から彼は単身赴任を選択したのである ところで彼は東京に拠点を2つ持っている 親と同居してないせいだ かれは東京の東武東上線大山駅近くにマンションを購入して、妻子と住んでいる
/709ページ

最初のコメントを投稿しよう!

69人が本棚に入れています
本棚に追加