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彼は自宅へ戻った
妻はお帰りなさいの挨拶をしたものの、相変わらず話かけて来なかった
娘がいないので彼は聞いた
「沙羅は何故いないんだ」
「友達の家に泊まるって」
妻はそう言うと彼の前に肉料理を置いた
心地よいソースと肉汁の匂いが彼の鼻の粘膜を刺激した。
『まさか、こいつ娘を追い払ったんじゃ』
彼は強く言った
「まさか、その友達男じゃないだろうな」
テーブルの迎え側に座った妻は彼を睨んだ
彼はたじたじになり言った
「いや、沙羅の事はお前に任せてるから」
二人はそれからしばらく話さず食事を取った
彼は言った
「あのさあ」
妻は食べながら言った
「なに」
二人とも他人とのコミュニケーションが得意ではない
特に他人の機嫌を取るのは苦手だ
だから夫婦に会話がないのかもしれない
彼は精一杯おせいじをゆった
「この肉柔らかくてうまいな
こんな肉地球上にあったんだな」
妻はまた下から睨んで言った
「あなたのお給料がもう少し良くなれば、いくらでも地球上に出てくるわよ」
彼はまた沈黙した
『なんでこの女と俺は結婚したんだ俺は
やっぱり容姿か』
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