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彼はかなり不満だったがマスカラが取れようがアイシャドウが取れようが、唇が口裂け女になろうが突進してくるセックスアニマルになるよりましかと思ったし
まるで処女のような恥じらいを見せる妻に好感を感じたので、大事な所を抑えながらも妻の許可を待った
妻は言った
「ちょっと電気つけるわね」
妻は化粧を直そうと鏡台に向かった
いきなり彼の体に蹴りが入った
驚いて目を開けた彼は叫んだ
「あっお化け」
妻はいきなり彼の胸ぐらを掴んだ
いつもの強い妻に戻っていた
妻は言った
「あれ、どう言う意味よ」
彼は妻の剣幕に目を白黒しながら妻の言う方を見た
それは鏡台だった
そしてその鏡の部分には、はっきり口紅のような物で文字が描かれていた
その文字の言葉は
『警察呼んで~』
彼の頭はあまりの恐怖のため混乱してしまった
今までの怪異現象が妄想ではなく、現実の物として一度に彼の理性を破壊したのだ
まるで真綿で締めるようにジワジワと迫って来る恐怖が見殺しにされた中年の男の怨念の深さを物語っていた。
今までは彼の対象はあくまで彼の良心だった
良心の呵責から理屈で割り切る事で逃れる
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