その男名高敦郎

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それから数日して彼は本社勤務に復帰した。仕事の方は順調だった 一方家庭では悪夢を見る以外霊現象は起こらず平穏だったが妻との間はどんどん冷めた 妻はあの日から異常に怯えていた 無理もないが 妻は勘のいい女だ あの日彼が口走った言葉に何かを感じたらしい 妻はその事は直接聞いてこないが彼の事を警戒し始めた また妻は、部屋の電気を満艦飾につけるようになった 彼は妻の気持ちがわかるが、娘は勿論知らないので、電気が無駄と言って妻といい争いをしている 妻は身体の不調も訴えるようになった しかし彼は何も出来なかった それに彼自身も働いていても妻や家庭の事が気になり、今一つ身が入らなかった そんな時妻が娘を外に出して言った 「貴方言いにくいんだけど、まさか悪い事をしたって事はないわよね」 突然の申し入れに彼は戸惑ったが、妻が思いつめている事は、はっきり伝わって来た。妻は返事次第では娘を守るため離婚も辞さない覚悟だろう 彼は言った 「天地神明に誓って悪事はしてない(酷い事はしたが)」 妻はそれを聞くと一言言った 「そう」 何故謝ったのかは聞いて来なかった。 そして一枚のメモをテーブルの上に出した。
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