その男名高敦郎

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「なんだこれは」 「相談したいの 霊能者に除霊してもらおうと思って」 「お前は心配するな 俺が絶対お前と沙羅を守る 霊能者なんて」 「わかってるわよ 大半は詐欺師よ でもこんな事誰に相談すればいいの 警察、弁護士?お寺?誰に相談すればいいの」 「興奮するな」 「頭おかしくなりそう、貴方は何にもしてくれないし」 「俺は命をかけてもお前達を守る覚悟がある」 だから冷静でいられるのだ、自分一人なら彼は気が触れていたかもしれない 彼は出来るだけ優しく言った 「怒りや恨みは一時的な感情だ だからこのまま終わる可能性もある その証拠にあれから何もおこらないだろう」 妻は疑い深く言った 「誰かの恨みを買ったのね 仕事関係? その人は死んだの?」 彼は困ったが事情を話すわけには行かない 「それは仕事じゃない 俺には非がないんだ 野良犬に」 その途端電気が一斉に消えた 思わず妻は顔を覆った 電気はまた一斉についた 彼は思った 『あいつは、まだ俺にとりついている じゃあ何を考えてるんだ」 妻は言った 「このまま収まるとは
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