第1章

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ビクッ! 私の隣の彼が低く重みのある声でその魂に告げた。 彼の本当の姿を知っている私としては、 ビクビクとしている魂を見ているのは楽しくもあり可哀そうでもある。 「緑深(りょくしん)。帳簿を持って来て下さい」 「お、おう」 そういうと彼は部屋の中の本棚にあるひと際青い本を手前に引っ張った、 と同時に隣の本棚がゆっくりと前に開いてきた。 自分が入れる十分な空間ができると彼はその中に消えていった。 私はそれを見届けると、魂に向きなおった。 「それでは、基本的な質問をしますね。名前は?」 「たけし、です」 「たけし。私は、蓮水(れんすい)。 人の魂を扱う者です。人間界では神と呼ばれているようですね」 「神…様」 「そうです」
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