プロローグ

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「……キ」  かすかな声が一瞬聞こえた。  真っ暗闇だ。ここは、どこなんだろう? 「アキ」  海の中にいるはずなのに、何故か体が冷たくない。 「アキ! 目を覚ませよ!!」  暗いこの場所は本当にどこなの?  彼の……声がする。 「俺を置いて死なないでくれよ!!」  彼は、泣いてる。  そうか、私はあの海に飲み込まれたまま……。でも、なんだか暖かいぬくもりが感じられる。 「アキ!!」 「……え?」  私はいつの間にか閉じていた瞼をゆっくりと開く。  目の前には、彼がいた。  座って、私を横抱きにかかえて。
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