1人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
手が届くくらいまで来ると、少し間を置いて喋りかける。
「お前、何やってんだ?」
自分でもよく分からなかった。なぜこんなことをしたのか。普通なら昨日みたいにすぐ立ち去るのだが、今はこの少女に惹かれてしまっていた。
言われた少女はゆっくり顔を上げ、こちらを見る。
「・・・」
何も言わずじっと見つめる。
男は初めて少女の顔をじっくりと見た。顔は小さく、青く澄んだ目に小さな唇。どこか寂しそうな表情をしていた。
「あー、昨日もここにいたけど、ずっとここにいたのか?」
ほんと何言ってんだかって感じだった。ただ、何か自分の考えとは裏腹に口から言葉が出る。
この問いに少女は、顔をこっちに向けたままコクリと頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!