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実験は日常生活となり、毎日毎日地獄のような実験を繰り返された。
苦痛なんてもんじゃない。実験は数時間で、それ以外は独房に閉じ込められてたが、何もないときも実験の苦痛が幻覚となって襲ってくるのだ。
夢なんて毎日うなされていた。涙などは物心ついたときにはすでに枯れていた。
脱獄しようとも何回も思った。しかし、どう考えても出来る状況じゃない。身体も衰え、立って歩くのが精一杯だった。
そして年月が経ち、俺が16の時だった。すでに限界を越えて脱獄など頭になかったのだが、あるものが芽生えてきた。
破壊。
破壊衝動が体を動かし始めたのだ。
何もかも壊したい。物も、施設も、人間も。
気が付けば、外に出ていた。
施設は無く、俺を拘束するものももう無かった。
外は暗く、そよ風が肌に当たり、それは冷たいような暖かいような、でも感じたことのない感触だった。
破壊衝動は無くなっていた。
それからはアパートを借りて、食料はコンビニで買い、寝て食べて寝て、時には外に出歩いた。特に何をする訳でもなく、ただ歩いた。
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