1章-destroy-

4/9

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
実験は日常生活となり、毎日毎日地獄のような実験を繰り返された。 苦痛なんてもんじゃない。実験は数時間で、それ以外は独房に閉じ込められてたが、何もないときも実験の苦痛が幻覚となって襲ってくるのだ。 夢なんて毎日うなされていた。涙などは物心ついたときにはすでに枯れていた。 脱獄しようとも何回も思った。しかし、どう考えても出来る状況じゃない。身体も衰え、立って歩くのが精一杯だった。 そして年月が経ち、俺が16の時だった。すでに限界を越えて脱獄など頭になかったのだが、あるものが芽生えてきた。 破壊。 破壊衝動が体を動かし始めたのだ。 何もかも壊したい。物も、施設も、人間も。 気が付けば、外に出ていた。 施設は無く、俺を拘束するものももう無かった。 外は暗く、そよ風が肌に当たり、それは冷たいような暖かいような、でも感じたことのない感触だった。 破壊衝動は無くなっていた。 それからはアパートを借りて、食料はコンビニで買い、寝て食べて寝て、時には外に出歩いた。特に何をする訳でもなく、ただ歩いた。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加