147人が本棚に入れています
本棚に追加
静かになった、俺の部屋。
「魁人ー、久しぶりだな、悠太だぞ、ゆ、う、た。覚えてるか?」
「うー?」
俺の顔をじっと見ると、魁人は笑顔を見せた。
「あー、ゆたー!」
「そうそう、よく覚えてたな。」
笑顔が、利人にそっくりだ。
…利人。
なんで、死んじまったんだ。
心臓麻痺なんて、シャレになんない死に方だぞ、バカ。
利人のことは、高校の時に好きと自覚した。
それ以来、ずっと心に押しとどめていた気持ち。
それは、利人が美佳と結婚してしまって、とうとう打ち明けることはできなかった。
「…これなら、好きだって言っておけばよかったな。」
今頃後悔しても遅い。
「ゆたー?ゆたー?」
気づくと、俺のズボンを引っ張り、心配そうな顔をした魁人がいた。
「なんでもないよ、魁人。さ、ご飯食べるか。」
最初のコメントを投稿しよう!