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魁人は本当にできた子供だった。
独身で子育てをしたことがない俺でも、十分お世話できた。
夜。
魁人が一緒の布団で寝たがったので、
自室のベッドの下に布団を敷き、2人で入った。
「きゃっ、きゃっ…ゆたー。」
「なんだよ、魁人、お前もう夜だぞ。早く寝ろよ。」
「ねんねー。」
「そうだ、ねんね、だよ。」
「きゃっ、きゃっ、ねんねー!」
「寝る気あるのか…」
魁人は俺の顔やら首やらをペタペタと触ってきた。
「く、くすぐったいぞ、魁人。」
「ゆたー、ゆたー。」
「なんだよ、ほら、ねんねだぞ。」
「ゆたー、すきー。」
「わかったから、ほらねんね…ん?」
今、魁人、すきって、言わなかったか?
1歳で、そんな単語言えたっけ?
気づくと、魁人は俺の腕の中で寝ていた。
「…ま、いいか。」
俺は、そっと魁人の頭を撫でた。
「…利人、すき、だ。」
魁人につられて、俺もそんな言葉を口にしてしまった。
…ま、もう遅いけどな。
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