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取り敢えずはユウキの事を教える前に、多分聞いていたであろうユウキにも一応説明はしておく
「ユウキ、東の国のお姫様と騎士様だそうだ。あまり失礼のないようにな」
まあ護衛の仕事を引き受けた手前、ちゃんとした礼儀くらいは弁えた方がいいと思って言ったんだが、ユウキは何故か驚いたような表情をしていた
「空が敬語を使ってる!?」
「待て、お前は俺を何だと思っているんだ?」
「えっと、天上天下唯我独尊を地でいくタイプ?」
割りと間違えていないから怒るに怒れないが、流石にそこまで酷くはない筈だ
確かに気に入らない相手ならどれ程権力を持っていようと叩き潰したりはしたが、それでも立場を確立してからは少し大人しくなった
まあ、それでも不正を働いていた輩にはそれに応じた裁きを与えていた訳だが
「フフッ、どうやら楽しい恋人さんみたいですね。フィリア・キルカです、よろしくお願い致します」
「えっ?アハハ、やっぱり恋人に見えちゃうかなぁ。困ったね、空」
「ああ、確かに困るな。俺が男でお前が女だから会う人間は大体が勘違いするだろうな。別に俺とお前の仲は親友といったところなのに」
俺が誤解を解く為に普通に言ってのけるとユウキは途端に不機嫌そうな顔をしたが、事実だから仕方ない
そしてお姫様の後ろに控えている騎士がギュネス含めて全員驚いた表情になっているが、もうさっきので怒る気も失せた
取り敢えずはこのままお姫様達についてシオン達のいるであろう東に向かうか
あの二人、今頃どうしてるかな?
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
side・シオン
「う……ん………………此処は?」
私が目を覚ましたのは石造りの部屋で、暗さからして恐らくは地下だと思います
床には複雑に魔方陣が光を放っていましたが、それも徐々に消えていき、部屋の光源は松明だけになりました
しかし、その松明に照らされて分かるだけでも十人近くの人数が部屋の中にはいます
その内訳は王冠をかぶった人、豪奢なドレスに身を包んだ人、甲冑を身に付けている人、杖を構えて本を手にしてる人、実に様々です
私の隣にはイクスと一緒にいた眼鏡の女の子がいますが、状況が分からない以上この中で信用出来そうなのは彼女だけみたいですね
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