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そこで身体強化で聴力を限りなく上げると様々な音が濁流のように流れ込んくるが、俺はそこ中に馬の嘶きを捉えた
馬は古来よりその足の早さから移動手段として人と共に生きてきた
例えこの世界が地球のように科学の発展した世界だとしても野生の馬なんてそこまで多くはない筈だ
だかは取り敢えずはその馬がいる場所に辿り着けば人もいるだろう
「結構速いな、移動しているのか?ユウキ、見付けた馬のギリギリまでは飛んで近付くぞ」
「了解、どっちの方角?」
「此処から少し北の場所を東に向かってる。旅人を装って道を訊くんだ」
ひとまずは情報を求めて馬の嘶きが聞こえた北へと飛んでいくのだが、近付くにつれて徐々にその数が増えてきた
恐らくは大人数で移動しているから隊商か、はたまた行軍中の軍隊だろう
どちらでも構わないが、山賊とかだったら殲滅して路銀でも調達しよう
鬼が出るか蛇が出るか、そこはまあ神のみぞ知るところだな
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side・三人称
イクス=ロス達がそのような事を考え、向かっている場所には多数の騎兵がいた
彼等の格好は統一された甲冑なのだが、総じて何処かに損傷を受けている
その中で一人だけ異様な存在なのが周囲の騎兵に護られる形で馬を走らせる少女だ
歳は16になるが、その容姿は少々幼く見えるものである
少女の名はフィリア・キルカ、大陸東に位置するキルカ国の第七王女だ
王位継承権の低い彼女は突如として宣戦布告をしたかつての帝国、エドラ帝国に対する連合軍参加を周辺各国に呼び掛ける外交官として父である王に任されていた
しかし、エドラ帝国の東隣に位置するカント共和国へ向かったところ、既に首都は陥落し、帝国に占拠されていたのである
すぐに護衛の騎兵を率いて反転したフィリア姫だが、時既に遅く、存在を知った帝国は追っ手として騎兵一千を送り込んできた
彼女達の総数は騎兵百騎のみ、到底敵う数ではなく逃走を選んだのだが、今では追い付いた敵によってその数を半数にまで減らされ、負傷していない者の方が少なくなっていた
(せめて、せめて国境を越える事さえ出来れば敵も諦める筈です!)
少女の固い意思は、しかし再度行われた敵の追撃により儚くも砕かれようとしていた
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