第一章 始まりの森

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◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ side・イクス 「姫様!ご無事でしたか!?」 「ギュネス、貴方もよく無事で!」 「はい、突如として敵が退いたのでもしやと思い後を追ってきました」 あの二人、お姫様と騎士といった感じだが、さっきの敵の武装から見ても科学力は低い世界らしいな 一応は助ける形になったが、どうしたものかね 「それはそうと、そこの者は何者ですか?敵の兵士とも思えませんが……」 「ええ、旅人だそうです。武芸も優れているのか、百人近い敵を退けてみせました」 「百人を一人で、ですか?それはまた、御冗談を」 お姫様は少し幼く見えるが、中学生くらいか?騎士の方もまだ若いが二十歳は超えているし、将来有望な近衛騎士といったところだな 「いいえ、真実です。貴方達が来た事もありますが、百人を相手に全く恐れを抱いていない様子でした」 「そうですか……旅の者と言ったな。姫様を護ってくれた事、感謝する。よければ名を聞いてもよろしいか?」 「ああ、イクスだ。たまにソラなんて呼ばれたりもするが、どっちも俺の名だ」 「何か事情があるのでしょう。私はギュネス、ギュネス・ロメス。東の国、キルカの王族に仕える騎士だ」 「成る程、ならそっちの女性は王族か位の高い貴族ですな。これは失礼、改めて申しますが私は旅をしている者です。しかし、道に迷い此処が何処か分かりません。よければ東への道を教えて頂けませんか?」 こういった場合、相手が礼儀正しい場合は俺も極力礼儀正しく振る舞うが、今回の二人はその範囲内だ 騎士といった連中の中にはエリート意識の高い奴がいて好きじゃなかったが、このギュネスという男は違うみたいだな 「それでは私達と一緒に行きませんか?私はフィリア・キルカと申します。武芸の腕があるようなので、どうか護衛を頼みたいのです。見ての通り、先程の攻撃で皆疲弊してしまいましたので、聞いて頂けませんでしょうか?」 「別に構いませんが、私の目的地とは違った場合、そこまでになります。それでも宜しいのであれば同行しましょう。それと仲間も一緒にお付き合いしましょう」 どうやら道に迷う心配はなさそうだが、隠れているユウキを呼ばなければ怪しまれるか 俺が声を掛けると、ユウキは近くの茂みから現れた ……茂みに隠れるのが好きだな、コイツ
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