375人が本棚に入れています
本棚に追加
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
side・イクス
「姫様!ご無事でしたか!?」
「ギュネス、貴方もよく無事で!」
「はい、突如として敵が退いたのでもしやと思い後を追ってきました」
あの二人、お姫様と騎士といった感じだが、さっきの敵の武装から見ても科学力は低い世界らしいな
一応は助ける形になったが、どうしたものかね
「それはそうと、そこの者は何者ですか?敵の兵士とも思えませんが……」
「ええ、旅人だそうです。武芸も優れているのか、百人近い敵を退けてみせました」
「百人を一人で、ですか?それはまた、御冗談を」
お姫様は少し幼く見えるが、中学生くらいか?騎士の方もまだ若いが二十歳は超えているし、将来有望な近衛騎士といったところだな
「いいえ、真実です。貴方達が来た事もありますが、百人を相手に全く恐れを抱いていない様子でした」
「そうですか……旅の者と言ったな。姫様を護ってくれた事、感謝する。よければ名を聞いてもよろしいか?」
「ああ、イクスだ。たまにソラなんて呼ばれたりもするが、どっちも俺の名だ」
「何か事情があるのでしょう。私はギュネス、ギュネス・ロメス。東の国、キルカの王族に仕える騎士だ」
「成る程、ならそっちの女性は王族か位の高い貴族ですな。これは失礼、改めて申しますが私は旅をしている者です。しかし、道に迷い此処が何処か分かりません。よければ東への道を教えて頂けませんか?」
こういった場合、相手が礼儀正しい場合は俺も極力礼儀正しく振る舞うが、今回の二人はその範囲内だ
騎士といった連中の中にはエリート意識の高い奴がいて好きじゃなかったが、このギュネスという男は違うみたいだな
「それでは私達と一緒に行きませんか?私はフィリア・キルカと申します。武芸の腕があるようなので、どうか護衛を頼みたいのです。見ての通り、先程の攻撃で皆疲弊してしまいましたので、聞いて頂けませんでしょうか?」
「別に構いませんが、私の目的地とは違った場合、そこまでになります。それでも宜しいのであれば同行しましょう。それと仲間も一緒にお付き合いしましょう」
どうやら道に迷う心配はなさそうだが、隠れているユウキを呼ばなければ怪しまれるか
俺が声を掛けると、ユウキは近くの茂みから現れた
……茂みに隠れるのが好きだな、コイツ
最初のコメントを投稿しよう!