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「 カナタさんが
中庭の燈籠(とうろう)のところへ
来てほしいと言っています。
うめき声が聞こえると‥ 」
「 なに、うめき声とな? 」
急いで中庭に行く吉右衛門。
「 あっ 吉さん。
この燈籠、何かの霊体が宿って
いるようです。
話を聞いてあげてください 」
吉右衛門は、当主でありながら
気取らない、気さくな人物なので
親戚一同からは、親しみを込めて
「 吉さん 」と呼ばれていた。
「 うむ。
ところで カナタ、
その恰好はなんだ 」
これから 歌詠みの会を
するというのに
ウエットスーツを着て
サーフボードを小脇に
抱えていた。
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