第1章

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『今度の土曜さ、一緒に遊園地行かない?』 片思いの先輩からの誘いに頷いて。 朝から、一生懸命オシャレした。 ちょうど入場チケット2枚貰ったんだ、先輩が言った。 待ち合わせの場所、10分前。 まだ早いのはわかってるんだけど、一応周りを見回して。 先輩が来ていない事にほっと息を吐いた。 ……待たせるのは、嫌だもんね。 スマホを覗いても先輩からの連絡は何も来ていないから。 なんとなく落ち着かなくて、つま先を見下ろした。 それから何分たっただろうか。 不意に影が落ちて。 「おーまたせっ!」 目の前に立った人が腰を折って私を覗き込む。 ばっと顔を持ち上げれば、優しく笑った先輩で。 「せ……せんぱい、」 なんだかわからないけれど、目に膜が張った。 「んんー?……待たせたから、不安になっちゃった?」 ちらり時計を見れば、私が来てから3分経ったかどうかで。 不安……というよりは、コレはなんていうか、 「来てくれて嬉しくて」 ぼそり呟いた言葉に、先輩はからっと笑った。 「ははっ、待ち合わせしてるんだから、来るの当たり前でしょー?っつーか、待ち合わせしてなくても俺いっつも待ち伏せしてんじゃん?」 そうだった。 先輩はいつも私を待っててくれるんだ。 コクリ頷けば、にかっと笑って。 「うーっし、んじゃ早速しゅっぱーつ!」 2人、電車に乗り込んだ。
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