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葛原希玖(くずはらきく)は午前7時35分発の新幹線で、東京へと向かっていた。
18の時から、もう7年になるだろうか。
これが彼女の毎月の習慣となっていた。
彼女は朝6時半に家を出ると、小型のキャリーバッグを引きながら駅へと向かう。
彼女の住む小さな田舎町の駅には、駅員が一人しかいない。
木造の駅舎はもうずっと昔に建てられたもので、年を経るごとに利用客はどんどん減っていき、希玖の他には四、五人の老人が背中を丸めてじっと改札が開くのを待っているばかりだった。
駅舎の入り口にある自動販売機で彼女はペットボトルのお茶を一本買う。
それから駅員の立つ改札を通り、車両がたった一つしかない古びた電車に乗り込む。
とっくの昔に弾力を失い、電車が揺れる度にきしきしと音を立てるシートに座って30分。
着いた駅で電車を降り新幹線に乗り換えると、窓際に取った指定席に座り、ぼんやり外を眺めながらこれからの予定について思いを巡らせる。
それが彼女のいつもの過ごし方であった。
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