第1章 ジンクホワイトの空

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ほとんどが無人駅で、運転手のみのワンマン電車だ。 バスみたいな感じ。 殆どの駅で出口は、運転席の隣のドアしか開かない。 運転手がキップの確認をするためだ。 海野君は、丁度中間くらいの中塩田駅で、私は終点の別所駅まで行く。 「俺、選択の授業で音楽か美術か迷ったんだけどさ。」 「どうしたの?」 「音楽にした。」 「私は、美術だけど。」 「市村は、そうだよな。で、絵も描いてみたいかもって少し思っている。」 「ふーん。」 「だから、部活でやろうかと。ちょっと、思ってさあ。」 「少しとか、ちょっととか、積極性がないよね。」 「まあ、迷っているんですよ。思春期だし。」 下之郷駅を過ぎた。 次は、中塩田駅だ。 「明日、待っているよ。」 「うん。じゃ、また明日。」 海野君は軽く手を振って降りていった。 私は、海野君を目で追う。 海野君は、ホームに残り電車をずっと見送っていた。 なんとなく目が合った気がした。 多分、海野君は私を、私は海野君を見ていた。 視線を逸らさず。 見えなくなるまで。 ずっと見ていた。
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