第1章

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この香水は里奈さんの‥……? リューマから こんな風に今まで 女性の香水の匂いなんてした事ない。 私は寝たふりに徹して 息を潜めた。 心臓が忙しなく動いて、リューマに気付かれてしまいそう……。 そして涙が頬を伝ってる事も……。 「ミユキ……ごめん……」 リューマは 後から抱き締めながら 小さく呟いて 私の後頭部にそっと唇を押し付ける。 リューマのぬくもり…… こんなに温かいのに そのぬくもりから、私以外の女性の匂いがする。 イヤだ……。 気持ち悪い……。 『ごめん』って何に対して言ってるの? 何かやましい事をしたから? 考えたくない。 早く眠ってしまいたい。 リューマの吐息を耳元で感じてるのに リューマが遠くにいて、離れてしまったように寂しさ。 リューマの妻は誰なの? 大切な人は誰? 仕事ばかりを優先しないで欲しい。 私との時間も優先して。 私以外の女性の香水を そんな風につけてこないで。 里奈さんと 何したの……?
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