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……嫌われてるわけでは、ないのか? なんとなくそんな気がした。 「なにしてたんだよ、奏ー。」 「いや、ちょっと、山下の机にぶつかってさ。」 「山下?誰それ。」 「は?廊下側の1番前の席の。」 答えると、幸吉は少し考えるような難しい顔をする。 「んん、あー、なんか居た気がするな…あいつ山下っていうんだな。初めて知った!」 ……信じらんねぇ。 「クラスメイトだぞ…?」 「は?お前だってクラス全員覚えてねーべ?」 ………確かに。 「でも、山下はわかるだろ。」 「なんで。」 「な、なんでって…。」 なんでだ? 「つーか、さっきから顔ニヤついてるけど、どうした?お前らしくねぇ。」 ニヤついてる? 言われて、自分の顔を手で触れた。 ………なんでだ。別に、そんなに嬉しいようなこともなかっただろ? なかった、よな? ただ、山下の声を初めて聞いただけで… .
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