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幸吉とラーメンを食べ終え、家に帰った。今日はなんとなーく、常に気配を感じていた。
そんな日は、なぜか少しソワソワしてしまう俺。
ただいまー、と家に入り、服を着替えるよりも、何よりも先に、自分の部屋の灯りをつけて、カーテンを開けた。
わかってる、これがストーカーにあっている当事者のすることじゃないってことは。
おかしいのは、わかっている。
ただ、俺の部屋はここだと。気付いてほしい…無意識のうちにそんなことを思っていると気がついたのは最近のことだ。
長く気配を感じる日は、こうして真っ先に部屋の灯りをつけてカーテンを開ける。
今もまだ、見てんのかな、俺のこと。
窓を開けると、生温い風が吹いて、俺の髪をなびかせる。
なんとなく、見られている気がする。俺も、街灯が一つだけある道をなんとなーく見つめる。
実はいま、目が合ってたりして。
そんなことを思って少しおかしくなった。
外を見渡していると、不意に、電柱の後ろの妙な影が気になった。暗くて、よく見えない。でも俺は、目は良い方なんだよ。
・・・まさか、あの影が・・
少し、影が揺れている。ってことは、電柱の影だけじゃないってことだ。あの後ろには…人が居る。
ゴクリと、唾を飲んだ。
これは、恐怖か、それとも、好奇か…。
影だけの、存在に…妙に胸がドキドキした。
こちらを見ているのか。それとも警戒して身を潜めているのか…。
出てこい、出てこい。
俺に、顔を見せて。
君は一体誰なのか。
先に痺れを切らしたのは俺だった。
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