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俺が貰ったもんを勝手に!と、幸吉にもっと言ってやりたい気持ちをグッとおさえて、仕方なくヒジを出した。
こんなことで怒るなんて、きっと幸吉からすれば意味がわからないだろうし…まぁぶっちゃけ俺も自分で意味わかんねえし。
ヒジに貼られた絆創膏を見つめる。
「なに?やっぱ痛む?」
「ちげぇーよ。もったいねぇなって思ってんだよ。」
「はー?なにそれどういうことだよ」
「…お前はわかんなくていいっつの。」
「なに珍しく不機嫌?」
しまった、ムッとしたのが態度に出てしまっていた。…自分でも驚く。…今まで、多少理不尽なことがあったとしても、内心不機嫌になることがあったとしても、態度に出てことなんて一度もなかったのに。
「ごめんごめん、ちょっと腹減ってただけ。」
「うわー!わかるぅー!体育の後ってめちゃめちゃ腹減るよなぁ~!俺今日は学食でカツカレー食ったろ!」
幸吉は特に気にも留めてないようだ。
…絆創膏も、俺の傷を心配して置いてくれたもんなら、ちゃんと貼ってあげねぇと、逆に可哀想だよな。
そんなことを、思って、貼られた絆創膏を撫でると、どこからかガタッと音が聞こえた。
すぐに振り向いたが、どこから音がしたのかはわからなかった。
…たまたま、だよな?
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