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「立てるか?どっか怪我とかしてねぇ?」
「ぁ、だ、大丈夫、、です…っ」
その割には、全然立てそうにないじゃん。
あと、やっぱり、すこし上ずった声が可愛い。
ぺたりと、座り込んだまま動かない…まるで腰でも抜けてるようだ。
俺はとりあえず、集めたプリントや教科書類を地面に置いて、山下の脇に手を差し込んだ。
ビクッ!と山下の身体が揺れて、直後、硬直した。状況がいまいち飲み込めていないらしい。
「よーし、せーので立つからな?はい、せーのっ」
腕に力を入れてグッと持ち上げると同時に、一緒に立ち上がる。
う、わ、思ってたより軽いなこいつ…
すっと立ち上がり、やっぱり硬直している山下は、パチパチと目を何度も瞬かせている。
うわぁ…
ふわふわでウェーブのかかった前髪の奥で揺れるまつげが、俺の胸をくすぐった気がした。
なんだかこっちが恥ずかしい。
「…、ひくっ」
かああああっと赤らめた顔。状況を理解したらしい。その直後、揺れる身体と一緒に、山下の口からしゃっくりが出た。
あ、まただ。
「…それ、癖なのか?しゃっくり。テンパったら出るとか?」
俺は下に置いたプリントと教科書類を拾いあげながら山下に聞く。
「ぇっ?、ひくッ、っ…」
「ははっそんなテンパらなくていーから。俺別になんもしねぇからさ、な?プリントは俺が持ってくから、もう転けんなよ。」
「っ、ぁ、、ぁり、ありがと、ぅ…!」
必死に、潰れそうな声で紡がれた言葉。
あー、その頭、ぐしゃぐしゃって撫で回したい。
が、これ以上びびらすのもかわいそうだから、我慢だ、我慢…。
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