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なんだかその光景もおかしくて、吹き出しそうになるのを必死で我慢した。
すると、山下の口元が小さく動いている。
“ な、なんで…?どうして…? ”
そう呟いているように見えた。
すんげぇ、切なそうな顔…。
まじで小動物みてぇだな。
たぶん、俺の今の顔はにやけているに違いない。山下の様子が面白すぎて、目が離せなくなっていた。
「奏ぉ?なに見てんの…って、山下の卵割れてんじゃんっ!」
幸吉が、俺の視線の先に気がついて、そう言った瞬間に席を立った。
「え」
俺が驚いているうちに、幸吉は山下に近付き話しかける。
え、おい、ちょ…
俺はそんな幸吉を見ることしか出来なかった。
「せんせー!山下の卵割れてるから見てやってー!あーあ、、かわいそうに、山下の卵…」
「あ…ありがとう、田辺くん…。」
「いーのいーの!それよりも山下の卵が不憫で……」
「なんかその言い方だと、僕が産んだ卵みたい…」
「ぶはっ!確かに!!!山下おもれー!」
笑う幸吉に、恥ずかしそうにほんのりと顔を赤らめる山下。話す2人のところへ、ようやく先生がやってきて、幸吉もこちらに戻ってきた。
………俺が最初に気付いたのに…なんで幸吉が…つか、仲良くなってるし。
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