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「は?す、好きって?は?違うよ。」
そんなわけない。そりゃ、気になるし興味もある。だからって、正体もわからない自分のストーカーのことが好き?そんなことあるわけないだろ?
ってかあったらおかしいよ。それこそどうかしてる。
「ふっ、めっずらしー。動揺しちゃってさー。じゃあ誰のこと考えてたの?」
「はぁ?別に、そんな…。ただ、ちょっと気になる人のことを…」
ドッドッドッと、妙に心臓が揺れる。なんだこれ、誘導尋問されてんのか?
「は?結局好きな人じゃん。」
「いや、だから、違うって!」
「ふーん、へー、じゃあ、自分の今の顔、見てみたら?まぁ私には関係ないけどー。」
ニヤニヤと笑い、俺のことを見下ろしながら去っていく妹。
…なんなんだ。
どんな顔してるっていうんだ。だいたい、好きとか、そんなん、あるわけない。ありえない。
・・・・・あー、もう!!
こんがらがる頭を、ぐしゃぐしゃっと乱して、俺は大きくため息をついた。
「…よし。」
小さく、決意を固めて、物音を立てないように、こっそりと家を出た。
目的は、もちろん、ストーカー。そして、いつも隠れている電柱の後ろ。
顔を見れば、この妙な気持ちの答えが出るかもしれない。
そろり、そろり、近づいてみる。
う、っわぁ、こんなにドキドキしてんのいつ振りだよ、いや、初めてかもしんねぇ。
心臓痛いし、なんか胸が詰まって息苦しい。
どうなってるんだ、俺の身体。
ギリギリまで、近づいて、自分の胸に手を当てた。
「…誰か、いますか?」
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