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・・・・・返答は、なかった。
ああ、よく見ると、電柱の後ろの影も消えてるじゃん。
「はぁ、帰ってる、か。」
一応、電柱の後ろを確認しても、やっぱりそこには誰もいなかった。
一気に身体から力が抜けた。
脱力、ってまさにこのことだな。さっきまでの心臓の高鳴りが嘘のようだった。
俺が見ていない時は、いつも俺を見ていて、俺が見ようとすると、君はいつも居なくなる。
やっぱり、こんなの不公平じゃね?
いや、今回に限っては、心配で…早く帰れと思っていたから、結果オーライじゃないか。
自分の矛盾にも少し腹がたつ。
「はぁーーー。」
その場にしゃがみ込んで、頭を抱えた。
“ 好きな人できた?”
そんな、妹の言葉が頭から離れなくなった。
まさか、そんなわけない。ありえない。
そう、繰り返すように、自分に言い聞かせた。
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