02

4/17
826人が本棚に入れています
本棚に追加
/157ページ
緩む頬を、必死で引き締めた。 けど、やっぱり耐えきれなくて、俯きながら俺の横を歩く女の子が、俺の様子を伺うように、チラリとこちらを見たタイミングで俺はその子に微笑みかけた。 あくまでも、顔の緩みが自然に映るように。 彼女には、申し訳ないけど…俺は今、このぞくりとするような視線のことしか考えられない。 顔を赤らめた彼女に、ざわりと少しの罪悪感。 やっぱり俺は、優しい人間なんかじゃない。 「好きですっ!」 人気のないところまで来て、そう告げられた。 好意は、素直に嬉しいと思うようにしてる。 「…ありがとう。」 それしか言わない俺に、彼女も何かを察したのだろう。うっすらと目に涙が浮かぶ。…きっと、この子はいい子なんだろうな。 逆上した子もいたし…いきなり抱きついてきた子もいた。既成事実を作ろうと必死な子も… 「…、やっぱり、尾崎くんは、優しいね。」 「そんなことない。気持ちは、素直に嬉しいと思う…けど、俺は、君の気持ちには応えられない。ごめん。」 頭をさげる。 「きっぱり振ってくれてかえってスッキリしたよ。最初から、期待はしてなかった。だって尾崎くん、いつも誰かのことを考えてるような顔してたから…」 「え?」 どきり、と妙な音を立てる俺の胸。 「だから、わかってたの。彼女…?それか、好きな人…?」 なんで、みんなそんなこと言うんだ。 「…え、いや…えっと…そういうんじゃ…」 「ふふっ、まさかこんなに動揺する尾崎くん見れるなんてっ!…最後に、よかった。ありがとう。」 .
/157ページ

最初のコメントを投稿しよう!