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「早く終われ~!HRなんていらねぇよ~!早く終われ~!ぬおおおお…」 「おいおい、田辺、お前担任目の前にしてそんなこと言うなよ。」 教室に入ってきた担任に向かい、手を拝むように合わせてそう唸る幸吉に、担任も苦笑いを浮かべてツッコんだ。 そのことでクラスに笑いが起こる。 幸吉はクラスのムードメイカーだ。 HRなんて、5分で終わるというのに、目的を持った幸吉にとってはその5分がとてつもなく長いんだろうな。 「しゃあっ!終わった!!!奏!はやくはやくっ!」 「わかったから落ち着けって。」 急かす幸吉に、俺もカバンを手に取り席を立つ。みんなに別れの挨拶をしながら、うずうずしている幸吉の後を追う。 ちょうど、教室から出るとき、バイバイ!と掛けられた声に油断して、カタッと1番前の席に腰が当たった。 廊下側の、1番前の席。 まだそこに人が座っているのに、当たって机が少しズレてしまった。 .
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