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一人取り残されて、廊下で立ち尽くす私。最初の予定ではお手伝いをするつもりでいたから、することが無くなった。何しようかと考えるものの思いつかず、取り敢えず歩いてみることにした。
そして、10分たった頃お母さんからメールがきた。ディスプレイを除きこむと、内容は短く、
゛今どこ?゛
と、それだけしか書いていなかった。私は急いで返信をする。
゛よくわからない。この家広いね(^_^)v゛
と、送信した。すると、5分も経たない うちに返信はきた。
゛今いる場所に何がある?゛
私は辺りを見渡し、見たままのことを素直に書く。
゛ん~、襖と長くて先が見えない廊下..゛
そう送信すると、すぐに返信が返ってきた。
゛もうそこを動かないで頂戴゛
私は最後にこう送信した。
゛了解( ̄▽ ̄)b゛
私は改めて辺りを見渡してみると、やっぱり襖しかない。
私は廊下に座り、リュックの中からスケッチブックと12色の色鉛筆を床に広げる。
「よしっ」
色鉛筆を持ち、描き途中の絵を仕上げていく。
しばらくの間、夢中になって描いていると、ふと背後から気配を感じた。
恐る恐る後ろを振り向くと、優陽さんがスケッチブックを覗きこんでいた。いきなり現れたことと絵を見られていることに驚いてビクッと跳ね上がる。
「え、あの優陽さんどうしてここに?」
目の前が潤んできた。
私はとっさにスケッチブックを腕に引き寄せて抱える。優陽さんはその様子を見て、焦ったように言った。
「ご、ごめん!そんな驚かせるつもりはなかったんだ..」
わたわたと胸のまえで手を動かす優陽さん。
「平気です。あの、見ますか..?」
スケッチブックを床に開き置く。優陽さんはこくりと頷くと私の横に座り、絵を眺める。
「今さっき描いてたやつはこの絵?」
「はい。これ夜空の絵で、田舎に行ったとき、夜空が綺麗だったので思い出しながら描いてたんです...」
絵をそっと触り、説明をする。
「凄いね、なんか引き込まれる...ねえ、翔ちゃんこの絵はー 」
ページを捲る度に興味深そうに見てくれるので、私もどこか嬉しくて簡単に説明しながら見ていく。その間も優陽さんは私の話に相づちを打ちながら聞いてくれた。
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