歪みきった愛の結末にある自己の喪失

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去り行く背中に、手を伸ばして力任せに服を引く ……ガタンッ 椅子に足を引っ掻けて、それごと倒れるあなた 頭を押さえて、呻くあなたを一瞥して、邪魔が入らないように扉を閉めて鍵をかける 外でわめく声はするけど、水入らずを邪魔するなんて……許さない 起き上がろうとするあなたの頭に椅子を投げつけると、あなたはおとなしくなった 「そうよね?あなた、お揃いにしたいっていっていたもの 私だけかわったら、嫌だったわよね?ごめんね?」 動かないあなたの両脇に手を差し込み、ずるずると引きずる 中央まで運ぶ頃には、汗だくになっていた 意外と重いのね でも、その重さも愛しい 邪魔が入らないように、先に扉のまえに机を運び、 バリケードを作る
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