第二章 屋上のヴァルキュリア ②

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ヴァルキュリアがいるであろう、上空の暗闇にチェーンガンのsightを向けつつ、rockがかかるのを待った。 しかし、何故なのか一向に《》は赤くならない。自動捕捉もしない。 (…?) サナトスが小さなパニックを起こした時、暗闇に花火のような閃光が見えた。 (…?) その閃光はこちらに降ってきた。 それが弾丸だと分かったのは、それが雨のようにファフニールを降り注ぎ初めてからだった。 (なんだ、これ!?) sightを戻し、ブースタートリガーを引いてその場から離れた。 これが、あの不明の"肩武器"なのか。 (ミサイル?) だが、それにしては弾数が多すぎる。まるで雨だった。 と、思っていたら、またその弾丸の雨が降り注いできた。 上空からだ。 (あいつ、まだ上にいるのか?) 有り得ない飛翔時間だ。ブースターがとっくにオーバーヒートしているはずだ。 前回戦った『クリーナー』とかいうBCの腕武器もこんな感じだったが、今回のやつはそれより強力に思えた。 ファフニールの耐久度が2000を切ったあたりで、弾雨が収まった。 rock on sightが捕捉を示す赤に変わった。 (降りたな…。こっちの番だ!) チェーンガンのトリガーを引いて、赤い《》目掛けてブースタートリガーも引く。 接近して、今度はこちらがチェーンガンの弾雨を浴びせるのだ。 しかし、サナトスが肉眼でヴァルキュリアの白い機体を見た瞬間、背中から白い糸を吐きながら、それはまた上昇していく。
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