ふたりの時間

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 お前はそれっぽっちで  満足できたというのか。  俺がそばに居たのなら  他にもなんとかって城へも  連れて行ってやれたはずなのに。  帰りの飛行機の中で  お前は着物の胸元にしまっていた  俺の写真を取り出して  そっと撫でてくれていた。  お前はそれで満足なのか。  お前は俺の嫁になって  不満だらけではなかったか。  お前がこちらに来てくれたら  その時にお前の気持ちを聞いてみよう。  「あなたはどうなの?」  と尋ねられたら    「俺はいいからお前だけ答えろ」  と言ってしまうだろうけれど。      お前と話したくてたまらないのに  お前はまだこちらには来やしねぇ。  随分長くの時間が過ぎて  俺達の曾孫も15人に増えたらしい。
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