ふたりの時間

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 俺とお前とお袋と  1つ下の弟1人で家族4人。    大黒柱らしく稼がねばと  俺なりに考えた。  そして  『八百屋を始める』と  『いい土地を売って  もらえることになった』と  俺が言い出して  結婚をして早々に  住み慣れた土地を離れ、  新しい生活を始めた。  移り住んだその土地は  客の通りの殆どない場所だった。  騙されたことにはすぐに気付いたが  大口を叩いた手前、  謝るなんて出来なかった。  金がないせいで俺とお前は    しょっちゅう喧嘩した。  八百屋を始める出資金を出してくれた  体の大きな俺のお袋が俺とお前の  喧嘩を止めに入って  吹っ飛んでったこともあった。  まるまるとしたお袋がころりと  転がっていく姿に  喧嘩していたことも忘れて  2人してしばらく笑ってしまい  俺達2人はお袋に正座をさせられ  子供のように叱られた。  喧嘩は多かったけれど  それでも子宝には恵まれた。
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