ふたりの時間

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 それなのにお前は予定通りに  イタリアへ行くと言う。   「おとうちゃんが用意してくれたんだから」  そう言って1人だけで行くと言う。  心配症の次女が喪中だからと  反対するかと思っていたが 「おとうちゃんが喜ぶよ」   とそう言って、  そしてお前は本当に  1人きりでイタリアへ向かっていった。  着の身着のまま。  着物を身に着け、  手に持つものは風呂敷1つ。  中に入っているのは  皿が1枚だけ。  焼酎をひと瓶だけ持って行こうとした  俺も俺だが、お前もお前だ。  店で出てくる食事は  多すぎるはずだからと  取皿として皿を1枚。  娘達はそんなものは必要ないと  助言をしたのに言うことを聞かず  持ってきたのが皿1枚。  俺が居たなら  皿よりも、箸を持って行けと  言って聞かせてやったのに。 
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