ゾンビアンドフィッシュ6

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「葵さんの方がキレイだよ」 恐らく、私が一生に一度言われるか言われないかの言葉をサラリと言って、 私の肩を抱く朴さんは、 すっかり酔いはさめているようだ。 吐いたら楽になる人。 「……いや、私は日本人の中でもどちらかと言うと不細工の方だから」 韓国女性特有の肌ツヤツヤの美女が、 肩を抱かれながらも頭の中をチラついて、 そんな奥さんを貰った朴さんの目に、 私がどんなに色褪せて映ってるのかと思うと、 素直に浮かれる事ができなかった。 「葵さんは、自分を悪く言い過ぎなんだよ」 ……それも、 わかってる。 自分で卑下し過ぎて、キツイ時あるもの。 「俺の好みは、派手じゃない女性なんだよ。それでいてキレイなら言うことない」 その私を、 唯一、浮き上がれない底から、 少しずつ這い上がらせてくれたのは、 間違いなく、この既婚者の朴さんだ。 __奥様、 ごめんなさい。 「口、拭いたから、 キスしてもいい?」 もう少し、 あなたの旦那様、 私にお貸しください。 朴さんは、 私の手を引っ張って、 誰もいなくなった鉄工所の倉庫裏へと移動し始めた。 image=491372388.jpg
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