ゾンビアンドフィッシュ6

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「入って大丈夫なのかな?」 誰もいない(恐らく)鉄工所の倉庫。 敷地に車両が入らないようにチェーンはかかってはいたけれど、 警備保障とかのシステムはなさげ。(直感) 「こんな山中にある工場、俺達以外にも入ってるよ」 それでも、不法侵入には変わりなく、ドキドキして、 手を握っている朴さんに伝わりそうだと思ったくらい。 「……本当だ。 まだ、新しい煙草の吸い殻……」 煙が消えかけたそれと、 お菓子の袋が散乱していた。 「走り屋とかこの道良く通ってるらしいから」 「……そうなんですか」 もう22才になった私だけど、 やっぱり、族とか走り屋とか、 ヤンキーの類いはまだ、怖いと感じてしまう。 全てがそうじゃないんだろうけど、 凪子を傷つけた男達と重なって見えてしまうから。 「夜風は冷えるね」 倉庫と倉庫の間に、隠れるように抱き締め合う二人。 「そうですよ。風邪ひくから、車戻りましょうよ」 少し走れば、ホテルだってあるのに。 「外でキスしたくなったんだよ、ホテルならいつでも行けるし」 「……スリルを感じたいとか?」 暗いので、 今立っている場所が、衛生的にどうなのかと言うこともイマイチ分からない。 「スリルが欲しいなら、昼間に海岸でするのが一番だよ。釣りしてる連中のそばでのカーセックスとかね」 「えー……」 私を抱き締めながら、 朴さんの両手は、服の中から背中にモソモソと入ってきた。 「感じたいのは、 自然と、野性的になった葵さんだよ」 私より先に野性的になった朴さんは、 緑茶の味のするキスをしながら、 あっという間に私の上半身を裸にしてしまう。 「暗くてよく見えないのが残念だ」
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