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『あなたに、使命を与えます』
いつだったか、昔。
神様に呼び出された私は、豪勢な屋敷に入って開口一番に、そう言われた。
当時の私はまだ幼くて、文字の意味すらろくに理解していなかったものだから、そのとき私に与えられた言葉の意味と、その重要性のことについて無頓着だった。
だから、私はあまり頭を働かせずに、あっさりその言葉に頷いてしまった。
神様は驚いていた。
『ありがとう。あなたのような方が居てくれて、私は本当に嬉しいよ。でも、君はそれで本当にいいのかい?』
今思えば、あのときが最後のチャンスだったのだと思う。いつまでも、ずっとここで暮らすためにはあのとき、私が首を横に振っていなければならなかった。それは今の私にはよくわかっている。誰にでもわかる単純なお話だ。
でも、当時の私は生粋のバカだった。
『勿論です、神様』
私は、神様のことが好きだった。
恋愛的な意味ではなく、そう、まるで自分の家族のような存在として。お父さんのような存在として。
前世で難病を患い、わずか三歳の頃に地上を旅立った私のことを、まるで自分の子のように可愛がってくれた。
私はお父さんのことが大好きだった。だから、何かお父さんの役に立てることをしたかったのだ。
ただ、気を引きたかっただけ。
少しでも好意を向けてもらうために、甘えていただけだった。
それが仇となることを知らずに。
『そうか、ありがとう。では今度こそ、あなたに使命を与えます』
あぁ過去の私よ。
その好意は否定しないさ。
私は確かにお父さんのことが好きだ。だからそれは仕方が無い。
だけどね、昔の私はもう少し、物事を慎重に考える必要があったんだよ。なんでもかんでも安請け合いしてしまったら、後で絶対痛い目に合うからさ。
だから、あそこでは絶対に頷いてはいけなかったのだよ。
どうしてお前は頷いてしまったんだい?君はバカなのかい?いや聞くまでもないけどさ、君はやっぱりバカなんだろう。
『あなたには、これから...』
そのとき私がどんな瞳をしていたと思う?キラキラとした、お星様のような光を宿していたんだよ。まるで子どもみたいにさ。それがすぐ失われることも知らずにさ。
笑っていたんだよ、こいつは。
昔の私。
『地上に赴き、そして人間たちと同じ生活を体験する使命を与える!』
どうして、こんな安請け合いをしたの?
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