577 ひろと慶喜 その二

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夕餉の後、すっかり打ち解けた私達は、互いを「ひろ」「けいき様」と呼ぶほどになっていた 「ひろ 頼みがある」 「何でしょうか?」 「会津藩医を()し、予の祐筆(ゆうひつ)となってはくれぬか?」 「は? 祐筆?! すみません、僕、『祐筆』ってどんな仕事か知らなくて・・・ それに、会津藩医を辞するって、篠田家を出ろと言う事ですか?」 「祐筆とは・・・そうだな」 と説明して下さった祐筆とは、文官の役職の一つで、行政文書の作成・管理を行う部署だそうだ 一般文書を扱う表祐筆と将軍が直に手にする文書を扱う奥祐筆があり、公が私になれと言って下さっているのは、奥右筆だ
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