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ひろさんが俺の腕の中に居る
ああ、随分と久しぶりだ
伊東を討った日、御陵衛士の屯所から傷ついたひろさんを抱いて表に出た時以来だ
あれからもう、三ヶ月になるのだな
時折しゃくり上げながら眠るひろさんの涙の跡をそっと指で拭う
と、その時廊下で人の気配・・・
誰だ・・・?
「ひろ、予だ
良いか?」
よ、慶喜公?!
「あ、今、ひろさ・・・篠田殿は・・・」
どうしようかと思っているうちに、障子が開いた
「その方・・・新選組の斎藤・・・だったか
ここで何をしておる?」
「あの・・・」
「フ・・・
夜這いにはちと早い刻・・・
ましてや、ここは仏のおわします寺だぞ?」
「お言葉ですが、夜這いなど「下がれ」」
「・・・は!」
そう言って、ひろさんをそっと横にし、俺は下がるしかなかった
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