567 斎藤の手当て

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***山崎side 斎藤君の手当てをしているひろさんは、なんや怒っとるみたいな顔しとる 惚れた男が怪我して(こら)えてんの、気ぃ付いたられへんかって、自分に腹立ってんねやろな ま、斎藤君も、なんぼ我慢強い言うても、ちっと診せたら済むとこ我慢してもうて・・・ で、さっきからずっと、だんまりなんやけど・・・ なんや、あの二人、好きおうとったんちゃうの? 久しぶりに会うたんやろ? なんも喋らんと何してんの? とうとうなんも話さんまま、斎藤君帰ってもうた・・・ 「なぁ、君ら二人、どないなってんのん?」 したら、俺の肩に顔を埋め、声を殺してひろさんが泣いてもて・・・ そう言えば、あんな一世一代の告白したのんに、ひろさん、答えてくれへんどころか、まったくもって普通に俺と接してるねんけど?! もしかして、やっぱり、あれ、夢やったん・・・やな ひろさんはしばらく泣いて気ぃ済んだんかして、 『へへ、おおきに』 と下手な大阪弁で礼言うて、処置具の片付けに行ってもうた
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