583 慰め 斎藤

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583 慰め 斎藤

***斎藤side ひろさんの部屋へと入ると、 ふいと顔を背けられた 「ごめ・・・、一人にして」 そう言われたが、必死で泣くのを我慢しているようすが、堪らなく胸を締め付ける 俺は、ひろさんへ近づくと、そっと抱きしめた 「こんな顔をしたひろさんを一人になどできません」 途端にひろさんが(せき)を切ったように泣き始めた 「ご、ごめっ、は、じめく・・・、ひっ、く」 今回の姉弟喧嘩の原因は、おそらく慶喜公絡みの何かだろう 詳しい事情は判らないが、いつも副長には強気でいるひろさんが、こんなに取り乱し泣くのは初めてだ 落ちつくまでの間、背を摩りながら、ただただ抱きしめていた 副長とひろさんは、いつも互いを思いやり過ぎて、傷つけあってしまうのだ 気がつくと、俺にしがみついていたひろさんがそのまま(もた)れるように身体を預けて来た 眠っ・・・た、のか? ふふ、泣き疲れて眠る等、童のようだ
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