567 斎藤の手当て

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567 斎藤の手当て

十九日 医学所で一君の治療をする 鳥羽伏見の時に負傷してたのに、どうして、ずっと隠してたのか・・・ 悔しい! どうして気づいてあげられなかったんだろう 御陵衛士から帰って来てから、ほとんど話せていなくて、やっとゆっくり顔を合わせたと思ったら、治療の時 しかも、ずっと我慢してたって・・・ 私が忙しそうだったから? 牢に入れられた時、せっかく来てくれたのに、冷たくしたから? 油小路の後、会わないようにしてたのは、殴られて酷い顔になってるの見られたくなかったからで・・・ でも、そんな事言ってる場合じゃない 涙がこぼれそうになるのを堪えて、歯を食いしばって手当てするから、余計に何も言えない 一君も何も言わない 手当てを終え『お大事に』と、やっと一言声を掛けると『ありがとうございました』と、ペコリとお辞儀して部屋を出て行った 泣かない
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