渡りの果て 後編

558 錦の御旗

四日

この日は東軍が反撃に転じ、西軍を圧する優位に立った

だが、前線司令官二名が銃弾に倒れた後は、指揮が混乱し、淀方面へ退く

そして、西軍で朱色の旗が上がったと報告が入った

錦の御旗だ

史料ではこれに困惑した旧政府軍は、自分達が帝に敵対する賊軍となってしまったと知ったショックで戦闘に集中できず、退き始めたとある

でも、戦闘が止む気配はない？！

どう言う事？

治療室を出て、外を見ると、やっぱり錦の御旗は上がってる

なのにどうして？

「あの赤い旗、派手だな？！

どこの藩の旗だ？」

「さあ、見たこともねぇ」

！！

そうか・・・

皆、錦の御旗、見た事が無いんだ！

だから、旗が揚っても、あんなに発砲してるんだ！