第2弾「イレギュラーなりに」

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街の一角に存在する、どこにでもありそうな雑居ビル。 そのビルの中には、『高校生の相談室』というカウンセリング的な店がある。 「……うーん……」 そこの社長室で、フカフカの社長椅子に座りながら、ペンギンの着ぐるみが唸っていた。 ペンギンの着ぐるみ──否、全知全能の神、ロベルトである。 「どうなさいましたか? マスター」 ここの事務長兼ロベルトの直属部下の絵梨がお茶を出しつつ、ロベルトに訊ねる。 「絵梨君……いや、ちょっとアルテミス君の心境に変化が見られてね」 「…と、いいますと?」 「アルテミス君が、目的を見失いかけているんだ」 その言葉を聞いた絵梨は、ハッとしたような顔をロベルトに向ける。 「彼女は今、強さを追い求める故に、忘れてしまいかけているんだ。自分が何故強くなりたいのか──それを忘れてしまったら、人は……正しい方向に進めなくなってしまうのだよ」 ペンギンの着ぐるみに身を包み、ロベルトは切なげに瞳を伏せ、そう語った。 「……彼女には、他人も自分も救っていってもらいたいね」 ぼそりと呟いたロベルトは、絵梨が煎れた熱いお茶を口にした。
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