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2日間という短い期間の間に何とか水見式スキルの向上をさせた私に対して掛けられたのは、ネテロさんの無情な一言だった。
「すまんが、出かけなきゃならん用事が出来た」
「…は?」
何でも、隣国のお偉いさんのパーティーに招かれて、断りきれなかったそうで。
明日の昼頃に帰るとだけ告げ、ネテロさんは早々に旅立たれてしまわれた。
「ネテロさんってば……!」
唇を尖らせて、ハンター協会の廊下を歩いていたら、ちょっと異変を感じ取った。
ハンター協会の職員たちが、何故だか慌ただしく駆け回っているのだ。
(こんな朝早くから、どうして……)
首を傾げると同時に、タイミング良くビーンズさんが私の横を早足で通り過ぎようとした。
すかさず、彼の肩を掴み、話を半ばムリヤリ訊くことにする。
「ビーンズさん、なんで今日皆バタバタしてんの? 何かあった?」
「い、いえ…その……」
言いにくそうに口ごもるビーンズ。
うーん、言いそうにないな。
「と、とにかく急いでるので!」
「……もしかして、バレたらヤバいヤツ?」
ばっと走り出したビーンズさんだったが、私の台詞に足を止めざるを得ない。
「えぇ……まぁ……」
「ふぅーん? それで?」
「……逃がしてはくれないみたいですね」
はぁー、とビーンズさんは諦めたような顔で渋々教えてくれた。
「……アルテミスさんは、暗黒大陸をご存知ですか?」
「あぁ、名前だけなら…」
暗黒大陸って、あれだよね?
あんま覚えてないけど、ハンター世界の『外側』にある、危険生物とかウジャウジャいる所だよね?
「……それがどうしたの?」
渋っていたビーンズさんだったが、恐る恐るといった感じでこの騒ぎの事について話し始めた。
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