第3弾「200億を守れ!」

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「実はですね…その暗黒大陸からこちらに持ち帰った『遺産』が、突如消えてしまったんです」 声を潜めてそう言ったビーンズさん。 遺産…ねぇ? 「えーっと、よく分かんないけど、消えたって、盗まれたってこと?」 「その可能性は低いでしょう。あれを持ち出せるのは現時点ではハンター協会の会長…つまりネテロ会長のみ」 訝しげに思った私は間髪入れずに問う。 「でも、ネテロさんがそんな事する?」 「ですから、遺産自ら行方を眩ませているのではないかと…」 厳重に管理していたんですけど、とビーンズさんはボヤく。 「遺産自ら?」 ビーンズさんはさらに声を小さくさせて情報を教えてくれた。 「暗黒大陸より見つかったその遺産は、一つ一つ自我を持っているんですよ。今、十二支んの皆さんで対策と今後の話し合いをしていますが……なにせ会長がいらっしゃらないと……」 「あー…それもそうね」 うーん、思わず頭を抱える。 「アルテミスさん、この事は他言無用ですよ?」 「分かってる。ビーンズさん頑張ってね」 超・他人事の私は小走りで遠ざかっていくビーンズさんを見送った。 ☆ 「さて、私もボチボチ行きますか」 目の前にドーンとそびえ立つ高層ビル。 ここの最上階には、期間限定でプリンセス・ロゼッタの鏡が特別に展示されている。 まずは現物を見ないとね! 入場料無料の展示会へと、足を踏み入れた。 エレベーターで最上階へとたどり着く。 扉が開いて室内を見回し、ギョッとした。 見渡す限りの人、人、人。 予想はしていたが、ものすごい数の入場者で溢れている。 (でも、人混みに紛れて調べるには最適かも……) エレベーターの位置や非常口の場所など、逃走経路の確認もそこそこに、鏡を見に行く。 広々としたスペースの中央に──その鏡はあった。 上半身が丸々映る程の大きな鏡。 鏡の縁は宝石がいたるところに散りばめられていて、一層輝きを演出している。 「……キレイ」 なるほど、これは確かに200億ぐらい価値がありそうだ。
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