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ゆっくりと開く自動ドアさえ腹立たしくて
意味もないのにこじ開けるように
身体をドアにねじ込み、歩は突進する。
そして、貴子の腕を掴み、自分の後ろに隠し
躊躇なくその獣を突き飛ばす。
「許さないっ!!!」
背に庇った貴子の身体から震えが消え
周りから息を呑むような音がする。
藤谷の青い瞳が大きくなり、そして、
事態を飲み込んだように弧を描く。
「やあ、あゆ。
嫉妬は可愛くないよ。」
シンッと静まった事務所に
ギリッと歩の歯が鳴る音が響く。
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