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  千宮は今や若干30代にして ノーベル賞の候補者に名の上がる研究者。 そして、研究者特有の無頓着な風貌にも関わらず 優しく、穏やかな語りと人柄で ジェントルというあだ名がつき、日本で人気が出た。 それは露出を好まない千宮を追いかけ 海外の学会にまで日本レポーターが押しかける程の過熱ぶり・・・ 歩は申し訳なさそうに謝る。 「・・・ごめん、やっくん。 今、ちょっと手一杯で準備手伝うのは難しい・・・。 でも、会場押え位なら手伝えるから 規模が決まったら、連絡して。」 ありがとう、と柳は嬉しそうに頷く。 「助かるよ。規模は一応OB会に話を通してみる。 先輩は俺たちに逢いたいだけって言っていたけど これだけ有名になったからには、一報入れとかないと・・・」 そうね、と三田が頷く。 「面目潰すと面倒だし、 それに報道関係にも顔が効くだろうから 上手くすれば、役に立つ。」
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